皆さん、タナゴ釣りをご存知ですか? タナゴは日本各地に生息する小型淡水魚で、種類にもよりますが大きさはおよそ3~10cm。世界最小の釣りターゲットと言われており、その魅力の虜になっている愛好家はたくさんいます。しかし、こんな小さな魚を釣る魅力は一体どこにあるのでしょう?
小さなタナゴを釣りたくなる5つの魅力
多くの愛好家がいるタナゴ釣りですが、10cmに満たない小魚を釣ることの何がそんなに面白いのでしょうか。それは、タナゴ釣りには、他の魚釣りにはない独自の魅力があるからです。
①とても美しい
最大の魅力は、なんと言ってもその美しさにあります。繁殖期になると、オスはとてもきれいな婚姻色を身にまといます。それは熱帯魚とはまた違う、温帯魚らしい魅力をたたえた美しさです(写真は、タナゴの中では大型の部類になるカネヒラ)。ほとんどのタナゴの繁殖期は春ですので、タナゴ釣りの旬は春ということになります。心地よい春風の中、鮮やかな婚姻色に染まったタナゴを釣り上げたときの喜び。これこそ、タナゴ釣り一番の魅力なのです。
②地域により釣れる種が違う
タナゴ類の生息地はとても広く、北海道、沖縄、九州南部を除く全国各地で見られます。しかし、どこでも全ての種・亜種がいるわけではありません。日本には18種・亜種(うち2種は外来種)のタナゴ類が生息していますが、全国的に見られるのは、ヤリタナゴと外来種のタイリクバラタナゴだけ。ほとんどのタナゴは、東日本、西日本、九州北部のいずれかの地域でしか見られません。愛好家の中には、自分の居住地では見られないタナゴとの出会いを求めて、釣り旅行をする人たちもいます。所変わればタナゴも変わる。地域ごとの多様性は、タナゴ釣りの大きな魅力となっています。
③環境により釣れる種が違う
タナゴの生息環境は種ごとに異なります。河川のように比較的流れのあるところを好む種もいれば、用水路のように流れの緩やかなところを好む種、湖沼のように流れのないところを好む種もいます。極端な話、半径数キロの範囲でも、川と用水路と池とでは異なるタナゴが釣れる、なんてこともあるのです。同じ地域でも、環境変わればタナゴも変わる。地域内の多様性もまた、タナゴ釣りの大きな魅力なのです。
④簡単に楽しめる
初心者でも簡単に楽しめるのもタナゴ釣りの魅力です。必要な道具は、短めの釣り竿(90~180cmが一般的)、細い道糸、小さな浮きと重り、返りのない小さなスレ針、そして餌の黄身練りかグルテン。これだけです。いちいち選ぶのが面倒くさければ、釣具屋でタナゴ釣りセットが販売されていますので、それを購入すればいいでしょう。中には何万円もする専用竿がありますが、そんな高い竿は必要ありません。1,000~2,000円台の竿で十分です。 またタナゴは比較的警戒心が弱いので、タナゴのいる場所に糸を垂らせば簡単に釣れます。こうした易しさも実に魅力的です。
⑤飼育ができる
釣りだけでなく、飼育がとても簡単なのも魅力です。ホームセンターで売っている水槽セット(できれば45cm以上のもの)さえあれば、十分飼育できます。 お勧めはヤリタナゴとタイリクバラタナゴです。タナゴ最大の魅力である婚姻色は、飼育環境下ではきれいに出ないことが多いのですが、この2種は比較的婚姻色が出やすいので、観賞向けと言えるでしょう。
いかがだったでしょうか?
このように魅力あふれるタナゴ釣りですが、近年の環境悪化で、肝心のタナゴは減少の一途をたどっています。外来種を除く16種・亜種のうち、カネヒラ以外の全てが絶滅危惧種に指定されています。ですから、釣ったタナゴを飼育したいのなら、持ち帰るのは2~3匹に留めましょう。