誕生から10周年の節目を迎えたダイワの「スティーズ」ブランド。バス・プロの要求を叶える高品質ベイトリールとしてのデビューから、今やダイワのトータルブランドの旗艦にまで成長したスティーズの、“第二世代”として今春登場した「ダイワ・スティーズSV-TW」を、初級者にもお薦めする理由とは、何でしょうか?
ベイトリールの弱点を克服した超メカニカルの秘密
150グラム台という超軽量ベイトキャスティングリール「スティーズ」の誕生は、バス・フィッシング界にとって革命的でした。10年の時を経て、ダイワはそのスティーズにどんな進化をもたらしたのでしょう?
①スティーズの歩み
スティーズの開発に深くかかわっていたのが、トップ・バサーとして名を知られる並木敏成プロでした。年間300回を超えようかというタフな釣行スケジュールをこなすのに、「使いまわしのきく軽くて頑丈なタックル」の実現は氏の悲願だったのです。こうして2006年に誕生した初代モデル「スティーズ 103H」は、エアメタル(マグネシウム)ボディと無駄を極力排除したデザインで、155グラムという超軽量と耐久性、機能性のすべてを兼ね備えた画期的なベイトリールとして世に送り出され、世界中のバスプロの耳目をダイワの動向に引き付けたのです。以来スティーズはマイナーチェンジを重ねながら、ロッドはもちろんライン、ルアーなども含めたトータルブランドとして、ダイワが誇るバス部門の旗艦となってきました。
②SVの誕生
2013年、ベイトリールに新たなる革命がもたらされます。それが、ダイワが開発した「SV機構」でした。SVとは、「Stress-free Versatile」の略で、製品の型式名としては少し変わった響きがありますが、「イライラしない、何にでも使える」というほどの意味でしょうか。その真意は、それまでベイトリール最大の課題とされてきた「バックラッシュの解消」に大きな一歩を刻むスプール、ということにありました。
③バックラッシュが消えた!
初心者・初級者が特に悩まされるのが、リールに突然発生するラインの「おまつり」、すなわちバックラッシュです。これはラインの放出速度が何らかの理由でスプールの回転速度に追いつかなくなってしまうために起こるベイトリール特有の現象で、親指でブレーキをかけるようにスプールの回転をコントロールする「サミング」というテクニックでいくらかは防ぐことができますが、初心者にはそれもままならず、どうかするとライントラブルを解決することにばかり時間をとられる事態になりかねません。この課題を打破したのが、「ダイワ・スティーズ リミテッドSV」シリーズに搭載されたSVスプールだったのです。「ストレスフリー」には、「もう親指でブレーキかけなくても大丈夫」という意味もあったのですね。
④スティーズの進化形
ダイワが開発したSV機構の秘密は、簡単にまとめると高性能のマグネット・ブレーキの働きで、ラインの放出速度に応じてスプールの回転を自動的にコントロールしてくれる、というところにあります。(そのためにはもちろん、スプールそのもののデザインや各パーツの材質、機構に細々としたダイワの工夫があるわけですが、ここでは詳述しません)バックラッシュの悩みが消えたことで、リグの軽重や気象コンディションに関係なく自在にラインを飛ばせるようになり、またSV機構はメカニカルブレーキの調整をほとんど必要としないというメリットももたらしました。つまり、文字どおり「(一つのタックルで)誰でも、何にでも対応した釣りができる」というスティーズ本来のコンセプトが、2013年のモデルチェンジでまた一つ実現されたことになります。
⑤TWSとの融合
バックラッシュが起きる直接的な原因の一つは、スプールから最も近い“障害物”であるレベルワインド機構にありました。ラインをスプールに均等に巻きつけるためのメカニズムがレベルワインドですが、ラインを送り出す際にはこの部分が最初のブレーキ役になっていたわけです。このブレーキ要因を見事に解消してのけたのが、横長のTの字型に成形された、ダイワの「Tウィング・システム=TWS」です。キャスティング時にはラインがTの広い横線部分を通り、リトリーブ時には狭い縦線部分を通る…この極めて単純明快な発想に基づくシステムが、アングラーたちの長年の悩みを解決してしまったのです。言うなれば、バックラッシュの問題をスプール回転速度の側から解決したのがSV、ライン放出速度の側から解決してみせたのがTWSということになります。そして、この両者が搭載されることによって、ダイワの「スティーズ」シリーズは、誕生10年のモデルチェンジで新時代へと突入したわけです。
⑥世界のプロが絶賛
バックラッシュしない、だから重いジグでもノーシンカーのワームでも思い切りキャストができる、軽くて頑丈だから連日のハードスケジュールにも心配がない…と、ダイワのスティーズSV-TWは日本のトッププロたちを唸らせただけでなく、本場アメリカの猛者たちのハートをもがっちりと鷲掴みにしようとしています。今やダイワのスティーズSV-TWとスティーズ・ブランドのコンビネーションは、世界基準の定番タックルになりつつあると言えるでしょう。
いかがだったでしょうか?
トッププロが使う道具を初心者の分際で…などと考える必要はありません。そこには「誰にでも存分に使えるタックルを」というダイワのコンセプトがあるからです。バックラッシュしない、あれこれタックルの組み合わせに迷わない、それだけでも初心者・初級者がスティーズを手に取る価値は十分にあります。